めっき工場に関わる法律について

  • めっき工場はさまざまな薬品を使用するため、いくつかの法律や条例に対して対応して行かなくては
  • なりません。必要と思われる法律・条例を以下に紹介いたします。
  • また、地域によっては下記以外にも細かい条例がありますので確認が必要となります。

(1) 公害防止整備に関する法律

  • 上記の法律の対象としては、従業員(作業員含む)が21名以上の事業社が対象となります。
  • 対象となった場合は以下を選任して届け出が必要となります。
  • ・公害防止の統括者の届出(資格は特に無し)
  • ・公害防止の統括者の代理者の届出(資格は特に無し)
  • ・公害防止管理者の届出(有資格者)
  • ・公害防止管理者代理者の届出(有資格者)
  • ※以上の4名を選任し届出が必要となります。
  •  
  • この法律の目的としては、「公害防止統括者等の制度を設けることにより、特定工場における公害
  • 防止組織の整備を図り、もつて公害の防止に資する」としています。
  • 公害防止管理者の種類については以下となります。
施設の区分

公害防止管理者

の種類

資格者の種類
1) 令第7条第1項第1号に掲げるばい煙発生施設(大気汚染防止法に規定する有害物質を発生するばい煙発生施設)で排出ガス量が4万m3以上の工場に設置されるもの

大気関係第1種

公害防止管理者

大気関係第1種有資格者
2) 令第7条第1項第1号に掲げるばい煙発生施設(大気汚染防止法に規定する有害物質を発生するばい煙発生施設)で排出ガス量が4万m3未満の工場に設置されるもの

大気関係第1種

公害防止管理者

大気関係第1種有資格者

または大気関係第2種有資格者

3) 令第7条第1項第2号に掲げるばい煙発生施設(いおう酸化物およびばいじんのみを発生するばい煙発生施設)で排出ガス量が4万m3以上の工場に設置されるもの

大気関係第1種

公害防止管理者

大気関係第1種有資格者

または大気関係第3種有資格者

4) 令第7条第2項第1号に掲げる汚水等排出施設(水質汚濁防止法に規定する有害物質を排出する汚水等排出施設)で排出水量が1万m3以上の工場に設置されるもの

大気関係第1種

公害防止管理者

大気関係第1種有資格者、

大気関係第2種有資格者、

大気関係第3種有資格者

または大気関係第4種有資格者

(注)1

5) 令第7条第2項第1号に掲げる汚水等排出施設(水質汚濁防止法に規定する有害物質を排出する汚水等排出施設)で排出水量が1万m3以上の工場に設置されるもの

水質気関係第1種

公害防止管理者

水質関係第1種有資格者
6) 令第7条第2項第1号に掲げる汚水等排出施設(水質汚濁防止法に規定する有害物質を排出する汚水等排出施設)で排出水量が1万m3未満の工場に設置されるもの(注)6

大気関係第2種

公害防止管理者

水質関係第1種有資格者

または水質関係第2種有資格者

7) 令第7条第2項第2号に掲げる汚水等排出施設(BOD、SS等のいわゆる生活環境項目が問題となる汚水等排出施設)で排出水量が1万m3以上の工場に設置されるもの

大気関係第3種

公害防止管理者

水質関係第1種有資格者

または水質関係第3種有資格者

8) 令第7条第2項第2号に掲げる汚水等排出施設(BOD、SS等のいわゆる生活環境項目が問題となる汚水等排出施設)で排出水量が1万m3未満の工場に設置されるもの(注)7

大気関係第4種

公害防止管理者

水質関係第1種有資格者、

水質関係第2種有資格者、

水質関係第3種有資格者

または水質関係第4種有資格者

(注)2

9) 騒音発生施設

騒音関係

公害防止管理者

騒音関係有資格者(注)3
10) 粉じん発生施設

粉じん関係

公害防止管理者

大気関係第1種有資格者、

大気関係第2種有資格者、

大気関係第3種有資格者、

大気関係第4種有資格者

または粉じん関係有資格者

(注)4

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(2) 水質汚濁防止法

  • この法律は、工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の
  • 浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によつて、公共用水域及び
  • 地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む。以下同じ。)の防止を図り、
  • もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出
  • される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の
  • 責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。
  •  
  • メッキ業は「特定施設」にかかる為、「特定施設の届出」が必要となります。
  • これは「設置届け」と「使用届け」がセットとなっております。
  • 注意が必要な事項として、県条例の上乗せ基準が適用される場合があるので確認が必要です。
  • (地区の環境課に問い合わせてください)
  • 排水基準については、上記でも説明しましたが、「一律基準」と「上乗せ排水基準」があり、
  • 定期的に水質の確認が必要です。(義務はないが提出を求められれば提出しなければなりません)
  • 運用については、チェックシートを作成して日々測定管理して行くことをおすすめ致します。
  • 有害物質使用の場合は、「特定施設」から「有害物質貯留タンク」と「配管」の届出も必要と
  • なってきます。
  • 詳細については、管轄の環境課若しくは保健所に確認・届出を行ってください。
  •  

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(3) 敷地・建物に関しての法律

  • これから説明する法律はめっき工場と言うよりは全ての建築物に関係する一般的なことです。
  • 先ず、「確認申請」が必要となります。これは建築基準法に基づいた設計になっているかを
  • 事前に確認する事を目的とし、これが受理されないと工事に着手出来ません。一般的には
  • 統括して「設計事務所」や「ゼネコン」で申請から受理までの一連の作業を行います。
  • 申請内容については、申請書・構造等の計算書・建築図面・必要な消防設備図面・電気設備
  • 図面・機械設備(給排水・空調・換気)図面(シックハウス計算及び図面含む)・その他
  • 要求される図面(建築物用途によって異なる)が必要となります。
  • メッキ工場について
  •  
  • ・給水(市水・地下水・雨水等)
  • ここでは、使用する水の種類・量が必要となります。特に「市水」については敷地に対して
  • 1ヶ所しか引き込むことが出来ません。市水を使用する量をあらかじめ算出し、引き込む
  • 「市水」の配管の大きさ(口径)を計算によって決定致します。引き込む口径によって
  • 「加入金」が違うので、十分な検討が必要です。
  • 尚、市水以外に地下水(井戸等)を併用して使用される場合は、下水道料金に関係して
  • きますのでメーターの設置等が必要となってきます。
  • 水道局への申請については、地区の指定工事店で全て対応するようになります。
  •  
  • ・排水(下水道)
  • ここでは「下水道法」があり、設置及び使用開始の届出等が必要となりますが、ここでも
  • 地区の指定工事店で申請手続きをおこなって頂く様になります。
  • しかし、排水基準の遵守については測定・管理して行く必要があります。
  • また、給水のところでも記述しましたが、下水道料金は使用した給水量で算出されます
  • ので申請時にはもれの無いように注意が必要です。
  • 万が一もれがあった場合は、遡って請求となるので気を付けてください。
  •  
  • ・設置機器
  • 設置機器については、「騒音・振動規制法」が関わってきます。詳細については所轄の
  • 環境課(環境政策課)に確認が必要です。(地域によって規制が違う)
  • エアーコンプレッサー:2.2Kw以上、7.5Kw以上の機器(送風機等)については届出が
  • 必要となってきます。
  • また、ボイラー設置についても大きさ(能力・伝熱面積)及び供給する燃料で、「環境課」
  • や「消防署」にも届出が必要となってきます。
  •  
  • ・電気
  • 必要電気容量・必要場所・電気の種類(単相(100v・200v、動力、高圧)等が必要
  • となります。
  •  
  • ・その他
  • その他にもメンテナンスを考慮したスペース・搬入扉の大きさ・通路の確保等の事前協議
  • も必要です。
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(4) その他の確認事項

  • ・地下水保全条例(熊本県の条例)
  • (目的)
  • この条例は、地下水が県民の生活にとって欠くことのできない地域共有の貴重な資源で
  • あることにかんがみ、豊かで良質な地下水を保全するため、地下水の汚染の防止、地下水
  • の採取及び合理的な使用並びに地下水のかん養に関し必要な事項を定めることにより、
  • 県民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。
  • ※お問い合わせ先:熊本県環境保全課
  •  
  • ・労働安全衛生法(特定化学物質障害予防規則・局所排気の届出・有機溶剤中毒予防規則)
  • 労働災害に関する規則や必要な届け出があります。労働基準監督署に確認が必要です。
  • (労働衛生コンサルタント協会を調べれば、費用はかかりますが地元の衛生工学コンサル
  • タントにて色々と対応頂けます)
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  • ・消防法(危険物)
  • 消防法第2条第7項において「法別表の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ
  • 同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう。」となっている。また危険物の保管を
  • する上で欠かせない概念として指定数量がある。
  • 指定数量とは消防法第9条の3において「危険物についてその危険性を勘案して政令で
  • 定める数量」と規定されている。指定数量以上の危険物を貯蔵し,又は取り扱う場合には
  • 許可を受けた施設において政令で定める技術上の基準に従って行わなければならないと
  • 定められています。そこで消防法で定める法別表(品名表)と指定数量を確認する
  • 必要があります。
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  • ・毒物及び劇物取締法
  • 毒劇物の取扱い等が発生する場合にはこの法律が適用されます。
  • 目的としては:毒物及び劇物について、保健衛生上の見地から必要な取り締まりを行うこと。
  • としております。
  • 毒物劇物取扱責任者の資格が必要となります。
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  • ・廃棄物について
  • 業者コードを取得する必要があります。問い合わせ先は、各都道府県の廃棄物指導課に
  • 確認が必要となります。
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  • ・浄化槽が必要な場合
  • 地域によっては浄化槽が必要となる場合があります。排水量に応じて浄化槽の大きさ等をに
  • 決めるようなります。浄化槽の設置・保守点検・清掃及び製造については、登録制度及び
  • 許可制度があるので登録・許可を受けているところで申請・施工・清掃をして頂くように
  • なります。新築の場合は確認申請時に必要となるので「設計事務所・ゼネコン等」で申請
  • から施工まではできますが、保守点検については別途契約が必要となります。
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